生 産 ・ 工 芸 デ ザ イ ン 学科
工房で、朝から晩まで熱中した自主制作。そこで培った思考力が、私の武器になりました。
横山 舞
さん
アート・クラフト学科 ジュエリー・メタルワークコース
兵庫県立三木高等学校出身
株式会社TASAKI内定
※学科・コース名称・学年はインタビュー当時のものです。
編集部
神戸芸工大を知ったきっかけは?
横山
中学のときの美術部の顧問の先生が、神戸芸工大の卒業生でした。美術系の高校を目指すか普通科を目指すかで迷っていた私に、「大学から学んでも遅くないよ」「神戸芸工大、楽しかったよ」とお話してくださいました。先生のアドバイス通り、その後は普通科の高校に進学。その時点で、卒業後は神戸芸工大へ進むことを意識していたので、オープンキャンパスには5回ほど参加しました。
編集部
オープンキャンパスはどうでしたか?
横山
さまざまな学科の体験ができたのですが、なかでも生産・工芸デザイン学科で体験したガラスの箸置きや錫製のピンバッジづくりが一番楽しかったのを覚えています。相談コーナーでは、コースをまたいで交流や作品づくりができるということを知り、本格的に目指すことを決意しました。
編集部
神戸芸工大に入ってよかったことは?
横山
一番よかったことは、コンテンポラリージュエリーと出会えたことです。入学するまではまったく知らなかった世界ですが、今ではもう夢中です。
編集部
コンテンポラリージュエリーとは、どんなものですか?
横山
ただ見た目が美しいというだけでなく、コンセプトのあるジュエリーのことです。そのコンセプトを考える過程で、自問自答しながら深く考えるプロセスが大好きです。「自分ってこういう考え方をしていたのか」と再認識したり、発見したり。具体的には3年生のときに指紋をモチーフにした作品を制作していたのですが、そのときも「指紋って面白いな」「指紋って死ぬまで変わらないものなんだ」「変わらないものって魅力的だな」「それを伝えたいな」と思考を深堀りして、不変性の価値を作品で表現しました。コンテンポラリージュエリーは、ジュエリーという側面だけでなくアート作品でもあります。制作には哲学的思考が必要なのです。

編集部
授業の内容や先生は、どのような雰囲気ですか?
横山
授業では、技術的なことを基礎から分かりやすく学ぶことができ、3年生後期からは自分のつくりたい作品を制作していきます。授業以外でも積極的にコミュニケーションを取ってくださる先生ばかりなのですが、なかでもジュエリーの先生は、特にユーモアたっぷりで明るい方です。素晴らしい経歴を持ちながらも親しみやすく、私たちと同じ視点で「これ面白そうだからやってみよう!」などと提案、指導してくださいます。1年生のころ、授業時間外に工房で作業をしていたとき、「頑張ってるね」と声をかけてくださったときのうれしい気持ちは、今でも心に残っています。
編集部
授業以外で工房を使うこともよくあるのですか?
横山
個人用の制作デスクが用意されているので、授業の合間や授業後などでも、工房を自由に使えるようになっています。私も3年生でデスクをもらったときから欠かさず、平日の授業の合間や授業後、少なくとも18時から21時までは毎日制作に打ち込んでいましたね。
編集部
授業の課題もあるのに、大変ではないですか?
横山
とにかくジュエリーをつくるのが楽しくて。授業で学ぶこと以外にも積極的に吸収したかったので、ジャンルを問わずたくさんの美術館に行き、そこからヒントを得て自主制作をしています。自分のつくりたいもの、自分自身と向き合う時間をつくることで、思考力が育ち、自分の表現したいことの軸を見つけることができました。4年生になった今は、朝から晩まで工房で自主制作に熱中しています。
編集部
自主制作した作品は、先生に見せるのでしょうか?
横山
はい。先生に作品を見せて、フィードバックをしていただきます。ダメ出しという感じではなく、先生の経験を通してさらによくなるポイントを教えてくださるので、次の作品に活かすようにしています。また、制作中も友人と話しながら作業をすることが多く、アドバイスをもらったり、友人の制作する作品から新しいヒントをもらったり。このように自由に過ごせる環境が、とてもありがたいです。
編集部
特にお気に入りの作品について教えてください。
横山
これも自主制作なのですが、2年生のときにつくった「光」というネックレスです。私が初めて「コンテンポラリージュエリーをつくるぞ!」という気持ちで制作したものです。波状に形成したシルバーのパーツをつなげて、透明感のあるアクリル素材と合わせました。シルバーパーツの上部が光を反射して身体に反射光が映るようになっています。パーツの下部は光の粒子をイメージして、一粒ずつ細かく打っていきました。

編集部
この作品にはどのようなコンセプトが込められているのでしょうか。
横山
「光をまとうジュエリー」を意識しました。「誰もがそれぞれ違う輝きを持っているので、他人と比べることなく、ひとりひとりの個性を大事にしていれば、ただ生きているだけで美しく輝いているのだ」ということを表現しています。「内面の輝き」という意味で、身に着けると見えないところですが、シルバーパーツの内側にも金箔を貼りました。私が貴金属を好きな理由のひとつが、この輝きなんです。時間が経っても変わらず輝き続ける。指紋の話と同じで、不変性に惹かれるのです。
編集部
特に難しかったのは、どんなところですか?
横山
パーツの大きさはどのくらいにするとインパクトがあり、光をきれいに反射するのか。そういったところから、かなり悩みました。また、まだ素材の扱い方に関する知識も乏しかったので、先生や先輩方にたくさん助けていただきました。そうして、「できないかも」と思ったものが少しずつでき上がっていく過程がとても楽しかったので、思い出に残っています。

編集部
就職活動はどのように進めましたか?
横山
早めに始めた方がいいと聞いていたので、2年生の前期からキャリアセンターに通い始めました。「六甲ミーツアート」などを手掛ける企業でインターン生として働かせていただいたり、業種を絞らずに学内で開催される合同説明会などに参加したりするなかで、「やっぱりジュエリーを扱う企業に就職したい」という想いが強くなっていきました。
編集部
内定先とは、どのように出会ったのでしょうか。
横山
「ジュエリーを制作する企業を探している」と先生にお話ししたところ、株式会社TASAKIを提案してくださいました。神戸の大きなジュエリー会社ですし、先輩も働いているということで、興味を持ちました。その後、先生がその先輩と引き合わせてくださり、お話を聞くなかで、「いい会社だな」と思うようになりました。その後、インターンシップに5回参加。回によって内容も異なるのですが、全パターンを経験するうちに、志望度が高まっていきました。
編集部
今後の夢を教えてください。
横山
入社後は、デザイナーさんが考えたデザインに基づいて、ジュエリー製作の職人として働きます。授業や課題を通して身に付けた高い技術力、自主制作のコンセプトづくりで培った深く考える力を武器に、デザインに込められた想いを汲み取り、しっかりと形にしていけるジュエリー製作の職人になりたいと思います。そして、いつかは企業の顔となるハイジュエリーの制作に携われるようになりたいです。