メ デ ィ ア 芸 術 学科
たくさんの先生方に助けていただき、自分を好きになれた就職活動期間でした。
水本 妃南
さん
映像表現学科 アニメーションコース
某アニメーション制作会社内定
※学科・コース名称・学年はインタビュー当時のものです。
編集部
神戸芸工大を志望した理由は?
水本
高校でお世話になった先生がおすすめしてくださり、私が目指したいアニメの勉強ができるということで、神戸芸工大に進むことを決めました。
編集部
アニメの勉強をしたいと思ったきっかけを教えてください。
水本
入学前に「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)」という中国で制作された素晴らしいアニメ作品に出会い、そのクオリティに心を動かされたことがきっかけです。そのときに、「私も日本を代表するような作品をつくりたい!」と思い、アニメーターを志す大きなきっかけになりました。
編集部
入学後、勉強は順調でしたか?
水本
1年生のときは順調だったのですが、2年生のときに大きな挫折を経験しました。アニメーションコースの課題では、1枚1枚手描きした絵をアニメーション動画にして、先生にチェックしてもらいます。そして、修正すべき点があればまた10枚くらい絵を描き直し、動画にしてチェック。何度も何度も描き直すたびに、「いい作品をつくりたい」という気持ちよりも「苦しい」という気持ちの方が大きくなってきてしまったのです。日本画や油絵などの場合、作品完成後に講評があるものの、完成までは自分のペースで進めることができます。でもアニメの場合、たくさんのチェックを経てやっと完成するのです。そして、その工程を楽しみ、かつスムーズに進んでいる友人と比べると、「私は向いていないな」と思えてきて……。3ヶ月ほどは沈んだ気持ちで過ごしていましたね。

編集部
その後、どうしたのでしょうか?
水本
まずは「自分ができることは何だろう」と考えることから始めました。尊敬する方が書いた本のなかに「好きの気持ちが一生続く居場所を探す」というような一節があります。私の場合は、絵コンテを描くのがすごく好きだったので、「アニメーターよりも演出家の方が向いているのではないか」と考え、演出家を目指すことにしました。当時、2、3年生でグループをつくってひとつのアニメーション作品をつくるという課題があったのですが、私は2年とも監督兼演出家を担当しました。簡単にいうと、アニメーターがつくったアニメーションをチェックしてOKを出す役割です。全体をチェックするなかで、みんなのつくった作品をじっくり見ることができたのが楽しかったです。
編集部
これまでの作品で、特にお気に入りのものは?
水本
1年生のとき、1分間のアニメーション作品をつくるという課題を受けて、私が初めてひとりで制作した作品「アイの食卓」です。ストーリーは、主人公の女の子が、お母さんがつくってくれた朝食を食べるというシンプルなもの。「愛」をテーマに置き、私にとっての「愛」とは何だろうと考えたとき、どんなに忙しくても父が毎朝お味噌汁をつくってくれていたことが思い浮かんだのです。だから、食事を通して伝わる愛情を表現する作品にしました。今は卒業制作の最中なのですが、今回も同じく「食事」をテーマにしています。技術面では成長したけれど、好きなもの、テーマにしたいと思うものの芯は変わらないんだなと、改めて気付かされました。

編集部
成長したと感じた点は、どのようなところでしょうか。
水本
絵も上達したし、演出の部分でも大きな成長を感じました。「アイの食卓」のときはその人物がどこに立っているのかという情報を伝えるカットが不足していたように思います。今は、シーンごとに必ず立ち位置が分かる絵を一枚入れるなど、全体のカメラワークを意識した作品づくりができるようになりました。
編集部
神戸芸工大に入ってよかったことは?
水本
少人数制なので、活躍されている現役のアニメーターや映像作家である先生方と、気軽にお話しできることです。授業内容を深堀りした話や、アニメ業界の最新情報などを、雑談のなかで日常的に聞くことができ、とても贅沢な環境だと思います。また、ほかの分野の授業を自由に受けることができるので、多くの視点から自分の「好き」を追求し、総合芸術としてのアニメ制作に活かすことができました。さまざまな分野で自分の「好き」を認識できたことは、就職活動における面接の場でも大いに役立ったと思います。
編集部
就職活動はどのように進めましたか?
水本
3年生最後の春休み、「活動開始が出遅れたかもしれない……」と不安に感じていましたが、実はアニメ業界の選考の多くが6~7月から始まると知り、ほっと一安心しました。これはキャリアセンターの職員の方が業界やスケジュール調査を一緒に進めてくださったおかげです。その後もキャリアセンターを積極的に利用し、エントリーシートの作成や添削、面接練習など、キャリアカウンセラーの先生方に丁寧にサポートしていただきました。
編集部
その後はスムーズに進んだのでしょうか。
水本
いいえ、かなり大変でした。演出助手になるという目標があるものの、募集をしている会社が限られていたので、中途採用をしている会社にも問い合わせたり、アニメーターや制作進行などの職種から演出家を目指すルートも想定したりして、何社かエントリーしました。でもなかなか上手くいかず、キャリアカウンセラーの先生と毎週涙ながらに反省会をしては、励ましていただく日々でした。私の短所が実は長所でもある。と先生が言い続けてくれたことで、少しずつ前向きになると同時に、就職活動を通して自分のことを好きになることができました。また、友人と離れるのが嫌で関東に就職するのをためらっていたときに、強く背中を押してくださったのも、キャリアカウンセラーの先生でした。人生において、すごく重要な出会いだったと思います。
編集部
ほかにも、就職活動を頑張り抜けた要因などはありますか?
水本
手描きでまとめた就活ノートですね。企業研究や、その企業やアニメ業界に関するニュース、選考についてのメモ、そのときの自分の気持ちなど、私の就職活動の全てがこのノートに詰まっています。このノートが厚くなっていくたびに、自分の頑張りを実感できて、励みにすることができました。ちなみに、このノートの最後には、内定後にキャリアカウンセラーの先生がくれたお手紙を貼っています。また、アニメーションコースの吉本先生にも、手厚くサポートしていただきました。
編集部
内定先はどのような会社ですか?
水本
大手のアニメーション制作会社です。これまで有名なアニメ監督を多数輩出している歴史や、多くの過去作品から学べるところ、そして何よりも、就職活動のなかで好きになれた「素直な自分」でいられることをイメージできたことから、この会社に決めました。

編集部
最後に、これからの夢を教えてください。
水本
私は、アニメを通してさまざまな「好き」とつながることができました。これからは私が、アニメを通してさまざまな人と作品、人と人、人と地域などをつなげるきっかけをつくっていけるようになりたいです。