建築・環境デザイン学科

目指す職業主な就職・進学実績

  • まちづくりコーディネーター
  • ランドスケープデザイナー
  • 建築デザイナー
  • インテリアデザイナー
  • 商空間プロデューサー
  • 公務員
  • 教員
  • 大学院進学
卒業生の声
  • NPO法人 Co.to.hana

西川 亮

卒業後、NPO法人Co.to.hana を発足。「デザインで社会を変える」をミッションに、デザインやクリエイティブの力でさまざまな社会課題の解決を目指している。
(2010年 環境デザイン学科(現:建築・環境デザイン学科) 卒業)

Q.どのようなお仕事をしているか教えてください。

卒業してすぐにNPO法人を立ち上げ、地域や社会の課題をデザインで解決する仕事をしています。具体的には行政や福祉法人、社会的な事業をされている企業の「こういった社会をつくりたい」というビジョンの実現のために、ブランディングをしたり、ロゴマークやWeb サイトをつくったりしていろんな施策をお手伝いしています。
自社事業の「高校生百貨店」では高校生の成長支援とまちづくり事業を行っています。高校生がバイヤーとなって地元の生産者や商品に出会い、発信していく取り組みです。活動は東北の石巻からはじまり、大阪、京都、沖縄へ。ゆくゆくは47都道府県に広げていくのが目標です。

Q.今のお仕事に繋がっている大学での学びは?

「デザインで社会を変えたい」と思ったひとつのきっかけが、大学1年次の夏休みの旅。西日本にある建築家の建物を1ヶ月かけて見て回ったのですが、そこで目の当たりにしたのが、憧れの建築家の作品でも住民からすると使いづらいという不満でした。どんな建物や街だったら住みやすいか、住民とアイデアを出し合って形にすることができたらいいのにと当時すごく考えていました。また、長濵先生の紹介で参加した「issue+design」のコンペも大きな経験に。災害時、貴重な水を効率良く再活用するトリアージタグのデザインで最優秀賞をいただくことができました。学生時代に深く考えたことや、長濵先生はじめ神戸芸工大でお世話になった先生方との繋がりは、起業してからも自分のベースになっています。

Q.今の目標や将来やりたいことはありますか?

課題に向けて一緒にビジョンを実現したり、活動の輪を広げる仲間としてソーシャルデザイナーを育成していきたいです。
そのために社会人や学生にデザイン研修をしたり、「ソーシャルミライデザイン」という人材育成プロジェクトも行っています。地域や社会の課題を実践的に解決していく人が増えたらいいなと思いますし、活動に参加した人の成長や変化を見られるのはやりがいです。
「課題」というと大変そうに思えるかもしれません。でも、課題とは地域や社会の未来がどうあればいいのか、「こうしたい」と思うことから生まれます。理想と現実のギャップを埋める課題解決はとてもポジティブなこと。自分次第でどんなこともできるのだと、若い人に伝えていきたいです。

西川 亮
  • 株式会社 MuFF

今津 修平

神戸市の建築・インテリアデザイン会社、MuFFの代表を務める。一級建築士として住宅からオフィス、ショップ、商業施設まで幅広く手がける。本学の非常勤講師。
(2000年 環境デザイン学科(現:建築・環境デザイン学科) 卒業)

Q.現在のお仕事、職種を選んだ理由やきっかけを教えてください。

数学が好きで、絵を描くことが好きで、神戸の街が好き。そんな僕が建築の道に進んだきっかけは、高校生の時に安藤忠雄さんの建築作品集を見たことでした。初期の安藤忠雄さんって神戸での仕事が多いんです。その建物たちは「作品」というよりも神戸の風景をつくっている感じがして、数学、美術、神戸が好きな自分がやりたいのはこういう仕事なんじゃないかと思った瞬間でした。大学卒業後は設計士として就職。いくつかの会社で設計監理の仕事を経験した後、建築・インテリアデザインの会社を立ち上げました。

Q.お仕事で心がけていることはありますか?

僕が目指しているのは、建築を通じて居場所や風景をつくること。「居場所」って、人がいて初めて成り立つ言葉です。人がそこにいて、いろいろな使われ方をする「場づくり」ができたらいいなと。例えば、商業施設だったら完成して多くの人で賑わっているとか、人がいる風景になっていくのを見るとやりがいを感じますね。建物だけでなくその周辺の風景だとか、建物の中から見える外の風景なども含めて誰かの記憶に残る風景をつくっていけたらと思っています。心がけているのは「自分の作品」と思わないこと。周辺環境の要素もあるし、建物に投資する人、関わる人がいて建築は成り立っている。だから僕は「作品」ではなく「プロジェクト」という言い方をするようにしています。あと僕は20代より30代、30代より40代のほうが楽しいと感じているので、「大人って楽しそうやな」って若い人が思えるような良いサンプルになれたらと思っていますね。

Q.高校生や在学生へ伝えたいメッセージは?

当時の副学長だった鈴木成文先生から「とにかくたくさん本を読みなさい」と言っていただきました。本は先人の知の集積だから、たくさん本を読んで教養を深めることがあなたたちのこれからすべきことだ、と。また、「創造は模倣から生まれる」という言葉にも共感しました。真似することは悪いことではなく、良いものをたくさん真似することで型ができていく。どちらも学びになった言葉です。
大学生活は圧倒的に自由な時間があります。自分の可能性を広げて未来を楽しむためにも、学生の皆さんには多くの友人をつくったり、海外に行ったり、社会や世界にも目を向けて貪欲に活動し、遊んでほしいです。

今津 修平
  • 株式会社 現代ランドスケープ

幡 知也

現代ランドスケープに入社後、数々のランドスケープデザインやプランニングを手がける。愛知県精神医療センターなど、受賞経験も多数。本学の非常勤講師。
(2005年 環境デザイン学科(現:建築・環境デザイン学科) 卒業)

Q.現在のお仕事、職種を選んだ理由を教えてください。

子供の頃から山や川など自然の多い環境のもとで遊びながら育ったため、気が付けば自然と関わりの深いランドスケープデザインの仕事を選んでいました。ランドスケープデザインは人々の文化や営みの風景、自然環境、生態系などさまざまな関係性を造園・土木技術などを活かしながらデザインする仕事です。
就活は4年生の時、大学の廊下で(笑)。現在勤めている会社の社長が神戸芸工大の非常勤講師をしていて、廊下でばったり会った際に「バイトさせてください」とお願いしたのがきっかけで、その後、ゼミの先生の後押しもありそのまま入社しました。

Q.今の自分をつくった、神戸芸工大での経験は?

入学当時は何をしていいのかわからず、相談した助手さんから「なんでも役に立つからとりあえず休まず授業を受けたら?」と言われ、一般科目も専門も履修した授業はほぼすべて出席しました。その結果、専門分野はもちろん、何の役に立つのかわからないけどなんとなく聞いていたフランス語や文化人類学や数学の三次関数までもがランドスケープデザインの仕事で役に立つ場面があり驚きました。もちろん、友人との遊びの中にも多くのデザインのヒントがありました。どんなことでもデザインに役立つから、悪いことでなければとりあえずやってみることが大切だと思います。
また、一般常識として身につけておくべき「名刺の渡し方」や「受け答えの仕方」などを教えていただける講習があり、常識に疎い芸大生としては知っておくべきだ!と受講した記憶があります。

Q.お仕事で心がけていることはありますか?

できる限り休日を遊び倒して、そこで楽しかったことを仕事にどう取り入れようかといつも考えています。生活のあらゆる経験がデザインの素になるため、作業だけに追われず、子育てや趣味の時間、一見、無駄に思える時間でも削らないよう心がけています。そういう時間があるからこそデザインのヒントやオリジナルのアイデアが蓄積され、仕事に結びつくと信じています。私はいろんなことに興味をもちますが、飽き性なので自分でつくった目標に向かって突き進むことが苦手です。だから、外からの出会いや刺激を大切にし、その時々で興味を持ったことを楽しみ続けたい。それが少しでも仕事や世の中を豊かにすることに繋がっていればいいのではないかと思っています。

幡 知也