研究テーマ『打ち出し技法による生物の表現研究とジュエリーへの展開』

作品情報

「研究テーマ:打ち出し技法による生物の表現研究とジュエリーへの展開」

   

KOBE DU PORTFOLIO

作者情報
卒業生 生産・工芸デザイン学科 キム ジユン

韓国出身
2024年神戸芸術工科大学卒展カオス学科賞受賞
アート・クラフト学科ジュエリー・メタルワークコース2024年3月卒業(三島一能ゼミ)

STORY

制作ストーリー

コンセプト

地球上の生物は多様な特徴を持っており、それぞれに違った美しさ、力強さがある。 一打一打気持ちを込めて金属板を打ち、描写していく打ち出し技法によって素材の中に生命の美しさや力強さを閉じ込め、それを身に着けることでそれぞれの生物の持つ魅力、生命力を纏い、不安を取り払い力を与えてくれるジュエリーを制作する。

彫金の打ち出し技法による表情が活かせそうであることと、デザインに影響する生息環境にバリエーションを持たせることを意識して、モチーフにする生物を選択している。 周りの装飾は、生物の印象や取り巻く環境をイメージしたデザインになっており、額縁のような視覚的な充実感と同時に、保護と自然や生命に対する敬意を表している。

ミツバチ

銀、七宝、石など素材の組み合わせによってミツバチと蜂の巣の美しさを表現した。

黒鳥

タガネによる細かい羽毛の質感の描写と、 亜酸化銅仕上げによる羽とクチバシの色のコントラストを表現した。

銀を素材にしてタガネで虎の細かい毛を描写 し、金メッキと硫化で虎の特徴である黄色に黒のパターンを、メッキを 剥がすことで白を再現し、虎の強さと華やかさを表現する。周りの装飾 は虎の強く優雅な雰囲気を引き立てるようなイメージで作っている

研究を終えて

今回の研究は私にとって作品を作る上で技術的に成長する経験になった。自然の美しさや生命力を作品に映すためには、生き物の造形的構造の理解、細部描写と質感表現などのための繊細な観察力が必要だ。私は作品を作りながらモチーフの形態、質感、色など姿と行動を観察し、それを繊細な金属作品に作り出す過程を繰り返しながら、作品制作において技術的な熟練度の発展を経験した。

また、今回の研究ではジュエリーを通じて観客、すなわち見て着用する人々にメッセージを伝えられる新しい経験をすることができた。自然との交感を通じて得る力と生命力を言葉や文章ではなく、私の作品を媒体として伝え、観客と疎通する過程で美的成就とやりがいを感じることができた。改善すべき部分としては、生物の描写、形など生き物の姿を表現することに集中しすぎて、独自性、デザイン的な部分の創意工夫が少し足りない作品となったことである。今後の作品制作にあたっては技術的なレベルアップは保ちつつ、目新しいコンセプトやデザイン、素材や技法の組み合わせ等を通じて独創性の高い作品にし、自然の生き物の美しさを広く知らせられる作品にしていきたい。

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