森 敦生
大阪錫器株式会社
(2018年 ガラス・陶磁器コース※卒業)
※現:ガラス・陶芸コース
主に注ぎ口や取っ手などのパーツを取り付けて銚子やジョッキをつくったり、金槌を用いてツチ目模様を施したりと、大学では経験しなかったこともゼロから学び、手作業で行っています。学生時代の作品制作と違って、仕事では正確さとスピードが同時に求められるので、技術力を磨くのはもちろん、道具のメンテナンスなどもしっかり行い、無駄な作業をなくすように心がけています。
釉薬の調合や濃度を変えたりすることで、金属の表面に錆びた風合いが出るよう試行錯誤を繰り返しました。陶芸は高校の美術部でも経験していましたが、大学ではさらに専門的な技術と理論を学べたことに加え、先生方や助手の方のモノづくりに対する熱意が、創作と向き合う意欲をさらに高めてくださいました。
作品テーマだけではなく展示方法も自由だったため、作品をどう配置したらいいか、ライティングをどうすべきかまで自分で考えました。学外の方々にも見ていただいたことで、作品をつくるだけではなく、人に見てもらう時のことも意識するきっかけとなりました。
百貨店などに出店した際には直接お客様と接する機会や直接購入している姿を見ることができるため、どんな人が使ってくれるのか、どんな製品が好まれるのかということを知ることができます。これからもお客様のニーズを大切にしながら、モノづくりのプロとしての視点とスキルを磨いていきたいです。
石井 風子
尼崎市立南武庫之荘中学校
(2019年 フィギュア・彫刻コース 卒業)
大学で作品づくりをするかたわら、ボランティアのスクールサポーターとして中学校へ通い、そこで実際の教育現場を目にしたことがこの道へ進んだきっかけです。ここなら自分の培ってきた知識や技術を活かせると思い、教職を志すようになりました。
授業内容や教材などは、ベテランの先生に相談しながらどうすれば美術に興味がない子でも楽しいと思ってくれるかを考えていますが、生徒たちの若い発想から気付きをもらえることも多いです。今は自分の作品制作をする時間がありませんが、将来は生徒たちから受けた刺激やインスピレーションを自分の作品に取り入れ、個展を開いてみたいです。
卒業制作では人と植物のハイブリッドのようなフィギュアを作り、1m20cmという大きなサイズにも挑戦。人間の顔の造形はずっと作ってきましたが、植物の球根は初めてだったので、どう表現したらいいか、生命力を感じさせるにはどうしたらいいかと試行錯誤しながら作り上げました。
特撮のスーツやマスクなどを作り子供たちの前で披露するのですが、子供とのコミュニケーションの楽しさを知れたとともに、見ている人の気持ちを引きつける話し方、身振り手振りなどが身につきました。また教員試験のためにデッサンや色彩構成などの実技対策を一年かけてしっかりとやっていたことが、現在も役立っています。
陳 韋心
加工技術者
株式会社 今与
(2019年 ジュエリー・メタルワークコース 卒業)
就職した会社では、ジュエリーを自社制作し、販売しています。
たくさんの素材の中から一番合うものを選び、自分なりの表現で作品を仕上げる楽しさを感じられました。また、先輩や後輩、同級生など、モノづくりが好きな方々と意見を交換し合ったりアドバイスをもらったり、一緒に試行錯誤を繰り返し、より良い作品を作り上げました。先生方は現役の作家でもあり、コンペの指導や展示の仕方など、さまざまなことを教えていただきました。
現在はリングやペンダントなどの商品の磨きを担当していますが、その他にも鋳造や石留めなどがあります。今の自分ではできない技法を習得していき、将来は一つの商品を完成できる、一人前の技術者になりたいです。
西脇 久実
美術教諭
姫路市立中学校
(2013年 造形表現学科造形美術専攻※ 卒業)
※現:アート・クラフト学科
大学で知った自由に表現する楽しさ。
美術のチカラを、生きるチカラに。
高校の非常勤講師を経て、昨年から中学校に美術教諭として赴任しました。私の授業では、自分の意見を伝えるために鑑賞を重視。また、教室の床に道具を広げて絵を描くなど、絵が苦手な子にも美術の楽しさを感じてもらえるように工夫しています。石でオブジェをつくる日に、急遽予定を変更すると「このために学校に来たのに!」と大ブーイングが。生徒たちは怒っていましたが、授業を楽しみにしてくれたことがうれしかったです。高校に入ると美術は選択科目なので、中学の3年間でしか美術を学ばない生徒も出てきます。時間は限られていますが、大学で自由に表現する楽しさを知った私なりのやり方で、生徒たちのチカラをしっかりのばしたいと思います。