日土小学校模型制作プロジェクトについて(花田)

 2000年1月26日から3月26日まで、鎌倉にある神奈川県立近代美術館において、「文化遺 産としてのモダニズム建築展 ドコモモ20選」という展覧会が開催されました。

 「ドコモモ=DOCOMOMO」とは、「The Documentation and Conservation of buildings, sites and neighborhoods of Modern Movement」の略であり、文字どおり、建築のモダンムーブメントに関する記録と保存を考えるためにつくられた国際的なNPO組織です。 オランダのデルフト大学内におかれたドコモモ本部では、2000年9月にブラジリアで開 催 される第6回ドコモモ国際大会での展示と出版とを目標に、各国のモダンムーブメント の 建築から20ずつの事例を選ぶ作業を進めきましたが、日本に対しても選定依頼があり、 日本建築学会内にワーキンググループが組織され、その任にあたったのでした。

 そして、この選定作業をそれだけに終わらせることなく、日本における建築のモダンムーブメントに関する議論を高めようと、選ばれた20の建物の写真や図面や模型等を集め 、市民や専門家に対するアピールのために企画されたのが上記の展覧会というわけです 。

 さて、この20選のひとつに選ばれた「日土(ひづち)小学校」という建物があります。 松村 正恒という建築家が設計した、愛媛県八幡浜市に建つ小学校です。木造モダニズムとでも呼ぶべきデザインを基調とした、静謐な空間に充ちた学校です。 私はここ数年、この建築家について調べてきたのですが、そういうこともあって、この展覧会用の模型制作の依頼が昨年(1999年)私にありました。 折りよく1999年7月24日、地元八幡浜市において、日本建築学会四国支部50周年記念事業の一環として「子どもと学校建築‐松村正恒の作品を通して」というシンポジウムが開催されました。会場は、こちらも松村が設計した八幡浜市立江戸岡小学校。私もパネラ ーとして参加することになり、そこに本学環境デザイン学科の学生有志30数名も同行。 日土小学校をはじめとする松村の設計した空間を実体験し、模型制作プロジェクトがスタートしたのでした。

 その後、約半年の苦しくも楽しい作業の末、模型は2000年1月に無事完成。展覧会場でスポットライトを浴びることができました。幸いに評価してくださる方も多く、学生ともども胸を撫で下ろしたことでした。 今回の作業からは、参加した学生はもちろん私自身も学ぶことがたいへんに多く、以下、模型制作の様子、模型および本物の写真を掲載します。学生諸君の真剣な眼差、実物かと見まがうばかりの出来映えをお楽しみください。模型の縮尺は20分の1。1m30cm四方の大きさです。

松村正恒、展覧会等については以下の文献等をご覧ください。

・花田佳明「松村正恒の残したもの」『再読/日本のモダンアーキテクチャー』(共著 、彰国社)1997年7月

・フォーラム「子どもと学校建築」日本建築学会四国支部50周年記念誌、日本建築学会 四国支部、1999年11月

・花田佳明「夢の中味」『confort』No.40

・野沢正光「成果の継承を 文化遺産としてのモダニズム建築展 ドコモモ20選レポー ト」『新建築』2000年3月号

・花田佳明「「ドコ」を通した「モモ」理解 シンポジウム「日本のモダニズム建築  ドコモモ20選をめぐって」レポート」『新建築』2000年4月号

 

制作の様子
展示の様子