Logbook:Yoshiaki Hanada
2005年5月

花田の大学での暮らし、設計活動、日々の思いを記録します。
御意見、御感想等ありましたらこちらまで。研究室TOPはこちら

□ NEW RELEASE
 
『植田実の編集現場 建築を伝えるということ』(花田佳明著、ラトルズ)

上記の出版を記念して、大阪と東京で植田実さんと私で「トークショー」をおこないます。
植田さんからさらに面白いお話を引き出したいと思います。興味ある方、ぜひどうぞ。


■ 大阪会場

日時/2005年5月27日(金)18:30〜20:30
場所/大阪市中央公会堂・地階展示室
講師/植田実、花田佳明
参加費/1000円 定員/50名(要予約)
名前、住所、電話番号、FAX番号を書いて下記にFAXしてください。 定員になり次第、締めきります。
申し込み・問い合わせ/アトリエ苫人 中野・佐藤
TEL03-3469-0845  FAX03-3469-0853

■ 東京会場
日時/2005年6月11日(土)18:30?20:30
場所/ジュンク堂書店池袋本店 4階(豊島区南池袋2-15-5)
講師/植田実、花田佳明
参加費/1000円(ドリンク付き)
定員/40名(定員になり次第締め切ります)
申し込み/ジュンク堂書店池袋本店1階カウンターで直接予約か03-5956-6111に電話予約

2005年-5月31日(火)
 午前中、1年生対象のオムニバス講義。午後、2年生の実習。一日完全にオフという日がないので疲れが溜まっているのがわかる。暑くなったのも原因だな。
 緊急の宿題は、ある展覧会評、岡本の住宅の某誌掲載の解説文と建物名の決定、ほとんどできている某原稿の手直し、いずれも短いものばかりなのに、なんとなくぐずぐずしている。反省。机のまわりも混乱したまま。終わった仕事の資料整理ができずにいる。なんだろうなあ、こういうの。反省。

2005年-5月30日(月)
 芸術・美術系の大学が集まった進学説明会のため広島へ。少し早く行って、丹下健三の平和資料館と日建の広島県庁の写真を撮る。スライドはあるのですが、デジタル映像がほしくて。平和資料館はちょっときれいになりすぎのような気がする。急に夏になったような日差しの中、歩き回り、説明会場では喋りっぱなしで疲れきった。芸工大の新学部情報はまだ高校生のもとには十分に届いていないが、会場に来て、ガンダムの「安彦良和」が教えるということを知り、腰を抜かさんばかりの反応を示した高校生が男女ひとりずついた。面白い。宣伝材料として持ち込まれた『月刊 ガンダムエース』という雑誌も初めて見た。その中のニュース欄に安彦さんが神戸芸工大の教員になる云々のお知らせも書かれている。こういうメディアがどういう効果を生むのか興味津々である。

2005年-5月29日(日)

 この春竣工した岡本の住宅に工務店の現場担当のお二人と山隈君と私がお招きいただき夕食会。すっかり新居に馴染んだ様子の暮らしぶりで安心した。

2005年-5月28日(土)

 大学で進学相談会。高校生のお相手をする。朝日新聞の連載を読んでいたお母さんがおひとりいた。大学の広報活動に一役買っていて嬉しい。

2005年-5月27日(金)

 午後は阪大へ。非常勤で担当する設計課題のエスキース。昨年に引き続き、千里ニュータウンの中から問題点を探して提案を求めています。

 16時40分に失礼して中之島へ。
植田実さんとのトークショーだ。定員50名ということだったが、少し立ち見の方もあって盛況。阪大でも宣伝したら4、5名来てくれていた。芸工大からも、ゼミ生以外にも何人か自主的に来てくれていた。鈴木成文先生まで。知っているところでは、建築家の竹原義二さん、吉井歳晴さん、大阪市大の中谷礼仁さんなど。H大学S先生も飛び込み参加。柳々堂さんからは書籍販売や参考資料提供の協力を得る。
 初めに植田さんが今回のプロジェクトの概要を話し、僕が『植田実の編集現場』で書いた「編集者・植田実論 建築に抱かれて夢を見る」の概要を紹介。そのあとは植田さんからの関西建築界へのメッセージや会場からの発言など。若い人が多く参加してくれていて、この本を手がかりにして少し前の時代の建築的な思考がうまく伝わっていくといいなと思うことしきり。
 終了後関係者で食事。ああ本当に書けたんだという安心感に包まれた。

 本ができてから僕が植田さんに会うのは今日が初めて。なので、会場でも司会役の編集担当をした中野照子が植田さんに感想を求めたりした。しかし、彼はあまりはっきりとした返事はしなかった(ように思う)し、何より、僕自身、彼の感想がもっと気になるかと思ったけど、不思議とそういう気分にはならなかった。
 こんなことを書くと不遜なやつと思われるかもしれないが、本に書いた植田像とご本人とのずれよりも、むしろあそこでおこなった「植田実」の「定義」の完備性の方が僕にとっては重要に思えているようだ。植田実を描いたのではなく、植田実的なるものを描いたというべきなのかもしれない。
 なあんてことを考えながら深夜帰宅すると、会場にいた知人の女性から、「植田実の編集現場、として書かれた「植田実」像と花田先生に共通する空気を感じました。」という感想がメールで届いていて、なるほどそういうことかもしれないなあと納得。上記の「植田実的なるもの」との共通点もあり、さっそく返事を書いた。以下その一部。


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<「花田が描いた植田像」=花田自身>説、なるほどと感心しました。
その通りかもしれません。
(あなたが言うように)植田さんがそれを予感したがゆえに僕を指名したのか、僕の方が結果的にそういうふうに植田像をねつ造してしまったのかはよくわからないけど。
ただし、「花田自身」の部分は、「現にそうであるのではなく、そうありたいと思っている自分の姿」だとは思いますが。
けっきょく、僕が書くものってぜんぶそういうことかもしれないとも思いました。
自分がそうありたいと願う何かについて書いている。
それが、あの本の中で使った言葉で言えば、「規範」や「説明」ではなく「価値」を込めた文章に多少はなっていて、植田さんなんかが面白がってくれる要因かもしれませんね。
うん、そういうことだきっと。
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そういうことなんだ、きっと。

2005年-5月26日(木)

 午前中、西宮の御前浜整備計画で今年度芸工大としてやれることについて、学生と一緒に議論。結構いろいろな案が出た。
 2年生の設計課題のエスキース。

2005年-5月25日(水)

 午前中、講義。午後、大学院の修論・修士制作の途中の発表会。大きな論理的枠組みがないもの多し。最終発表会では言いたくないので、あれこれ発言。僕が指摘するのはごく単純な論理的欠陥だ。それがどうして気にならないのか、僕にはどうしてもわからない。
 
27日の植田実さんとのトークショーの準備、というほどでもないが、本で使った画像の整理等。編集の中野さんと進行等についてやりとり。本の内容については読んでいただければいいので、むしろ会場の方と一緒に、植田さんからいろいろな話を引き出したい。来場予定の方、どうぞよろしく。

2005年-5月24日(火)

 2年生の課題の中間発表会。のどがひりひりで、つらい。
 でたばかりの、加藤典洋『僕が批評家になったわけ』。このシリーズの別の1冊、荒川洋治『詩とことば』も。ともに面白そうだ。

2005年-5月23日(月)

 朝起きるとひどいのど風邪。すぐ耳鼻咽喉科へ。一難去ってまた一難。抗生物質と消炎剤。 そのあと大学へ。院生と修論の打ち合わせ。

2005年-5月22日(日)

 岡本の住宅を某誌が撮影する予定だったが雨で中止。山隈君とカメラマンとともに下見と御挨拶のみ。楽しそうに住んでいただいている様子で一安心。

2005年-5月21日(土)

 御前浜整備計画の昨年度の活動を市民の方々に説明する会へ。終了後、学生たちと御前浜へ。けっこうたくさんのかたが散歩している。

2005年-5月20日(金)

 1年生10数名をつれた建築見学の授業で、芦屋のヨドコウ迎賓館(旧・山邑邸)へ。快晴。テラスで遠くの海を見ながら風に吹かれていると実に気持ちがよかった。
 今年の1年生は元気がいい。建築おたくも多そうだ。今日もそういう連中がいて楽しかった。解散後、6人の男子学生と一緒に芦屋川を下ってルナホールまで行った。坂倉事務所・大阪の名作ですね。黒一色のインテリアのかっこよさに、1年生諸君、かなりしびれてました。
 
少人数になるといろいろな話ができる。遠いところでは、鹿児島、佐賀、高知の出身者がいた。仕事を辞めて大学にはいり直したひともいた。そういう諸君が、ひとりで暮らし、建築の勉強を始めている。あらためて、芸工大にようこそという気分になった。新入生と話すと、大学という場所が果たすべき役割の大きさを痛感するとともに、その可能性にも自信が沸いてくる。

ヨドコウ迎賓館
ルナホール

2005年-5月19日(木)

 更新が大幅に遅れました。
 連休明けから一気に忙しくなり、それに加えて某器官に細菌が侵入し寝込んでしまい、点滴を打ちながらの松山出張など、命からがら逃げ切った怒濤の2週間でありました。

 ●11日(水)夕方:熱が出始める。
 ●12・13日:高熱でダウン。点滴と抗生物質攻撃を開始。松山でのシンポジウムの準備が終わってなくて、布団の中でパソコン作業。14日(土)の午前中、熱は何とか下がってきたので点滴を打って夕方松山へ。半日で香川から高知をまわるというハードな建築見学ツアーをすませたゼミ生と松山駅で合流。
 ●15日(日):松山の愛媛県美術館で「イームズ・デザイン&地域におけるモダンデザイン」というシンポジウムへ出席。日本の戦後モダニズム建築における意味表現(=伝統や地域性の表現)の概観、および、松村正恒やその代表作・日土小学校の紹介や戦後モダニズム建築の中での位置づけを喋った。会場は立ち見が出たほどの大盛況。僕は18時44分の電車で神戸へ。シンポジウムに参加した阪大の藤田先生と愛大の高安先生、それに僕のゼミ生は、16日に日土小を見学した。
 ●16日(月):点滴と再検査。あとは抗生物質を飲むだけとなる。ひと安心。大学へ。
 ●17日(火):大学で2年生のエスキース。
 ●18日(水):午前中講義、午後、学科会議、教授会、夜は京都工芸繊維大の松隈洋さんをお招きしてのトークセッション。「前川國男の求めたもの」。前川の経歴や作品紹介、時代背景の解説、作品分析等を映像と言葉で丁寧にやってもらい、学生はもちろん、僕もとても勉強になった。今年の12月末から来年3月まで予定されている「前川國男生誕100年」展のためにいくつかの大学で模型をつくることになっている。僕のところでもひとつ請け負っている。今日はそのための勉強会も兼ねていた。
 ●19日(木):朝から、ゼミ、2年生のエスキース、打ち合わせ、ゼミの続き、で、夜。一日中喋り通し。

 松山からの帰りの電車で読んだ村上龍の『空港にて』(文春文庫)はとてもよかった。帯には「「空港にて」は、僕にとって最高の短編小説です。by村上龍」とある。世界の細部を描く、あるいは定義するような精密で淡々とした文体がとてもいい。

 大阪府建築士会の会誌『HIROBA』最新号に、御杖小学校の見学レポートが載った。もちろん青木君にも送ったが、さっそく返事。インタビュー形式の記事なのだが、インタビュアーの質問とそれへの苛立ちを含めた僕の反応のポイントをよく理解してくれた内容で、あうんの呼吸とはまさにこれだと嬉しくなった。

2005年-5月5日(木)

 快晴。外にいると汗ばむくらいの一日。

 買った(「読んだ」に非ず)本のことを最近書いていなかったので思い出せる範囲でメモ(順不同、あえていえば「軽い」順か)。

 a.『世にも美しい数学入門』(藤原正彦・小川洋子、ちくまプリマー新書):藤原正彦のエッセイは好きなのだが、この本のお手軽感にはがっかり。「ちくまプリマー新書って予想外に面白くない。
 b.『東京ディープな宿』(泉麻人、中公文庫):慌ただしい出張じゃ無理か。そういえば東京旅行ってしたことないな。そういうとき用。
 c.『都立高校は死なず』(殿前康雄、祥伝社新書):中学や高校のことを僕らは知らなさすぎるんだろうなあと思って。
 d.『社会学を学ぶ』(内田隆三、ちくま新書):内田の個人史的記述に興味があって。
 e.『焼跡のグラフィズム』(多川清一、平凡社新書):戦中から戦後直後の出版人の貴重な記録。
 f.『自分を生きる人たち』(追分日出子、晶文社):学校や家族との関わりをつっこんで聞いたインタビューで、結構面白い。
 g.『マンガの道』(ロッキング・オン):ひとはいかにして漫画家になりしか。
 h.『心地いい木の家傑作選』(世界文化社)
 i.『東京スタディーズ』(吉見俊哉・若林幹夫他、紀伊國屋書店)
 j.『現代思想』5月号「公共性を問う」
 k.『東京人』6月号「建築を見に、美術館へ」
 l.『大阪人』6月号「長屋の暮らし」
 m.『A・レーモンドの建築詳細』(三沢浩、彰国社)
 n.『メタボリズムとメタボリストたち』(大高正人・川添登、美術出版社)
 o.『批評理論』(磯崎新他、INAX出版)

 p.『日本近代建築の歴史』(村松貞次郎、岩波現代文庫):NHKブックスだった本ですね。学生の頃は何の実感もなく読んだはず。読み返さなくては。
 q.『群衆の居場所』(中筋直哉、新曜社)
:「都市型騒乱の歴史社会学」が副題。日比谷焼打事件、東京の米騒動などを都市空間との関係を軸に描き直した研究書。今年のゼミ生で「デモ」をテーマにしたいと言ってるK君、参考にしてください。

 八幡浜での日土小を巡る対談のゲラ到着。

 15日の松山でのシンポジウム「イームズ・デザイン&地域におけるモダンデザイン」の準備をはじめる。

 『CONFORT』最新号に、今年度の建築学会賞を取った大谷弘明さんの「積層の家」と、広瀬鎌二の設計した母屋を建築家・神保哲夫さんが改造したり増築したりした「上小沢邸」について書きました。

2005年-5月3日(火)

 花田研としては第3期の卒業生・今津修平君の結婚式が北野であり出席した。雲一つない快晴。神戸を見下ろす会場は実に気持ちがよかった。

           雰囲気を少し。

 花田研同期のゼミ生や他の研究室の同輩・後輩、他学科の同輩などたくさん集まり、僕にとっても懐かしく楽しい一日だった。
 披露宴では、彼の卒業制作が引き起こした学科内での議論についてスピーチをした。彼は、同じく花田研の卒業生・梶川君、および前勤務先の先輩・磯田さんと東京で設計事務所「AE」をスタートさせている。これからの活躍に大いに期待している。
 余りに楽しくて、若者に混じり3次会までつきあってしまう。26〜7歳になった卒業生たちがそれぞれの道で何とかやっている様子を、僕は頼もしい思いで聞いた。この日記を読んでいる人も多く、それはまさに僕がこの日記を書いているねらいのひとつでもあり、嬉しかった。神戸芸工大を卒業した諸君が、少しでも大学とつながっていられる「糸」にしたい。あるいは、他国に送り込まれた秘密工作員が、深夜、アパートの一室でこっそりと母国からの暗号電波を受信して安堵し、かつ次の秘密指令を受け取るような・・・。ピピピピ。
 今津君が卒論以来お世話になっている建築家の吉井歳晴さんも駆けつけてくれ、2次会までお喋りを楽しんだ。ありがたいことに、吉井さんは専任教員以上に芸工大の学生の世話を焼いてくださっている(苦笑)。今日も大人気だった。
 『植田実の編集現場』についても嬉しい感想をもらう。彼は筋金入りの建築少年だ。僕なんかよりずっと『都市住宅』についての思い入れも知識も多い。

 『植田実の編集現場』については、少しずつ感想が届き始めた。なかでも、最も信頼する友人Aから、このままどこかの雑誌の書評に回したいと思うメールが送られてきて、心の底から嬉しかった。「編集者・植田実論 建築に抱かれて夢を見る」という文章で僕が書きたかったこと、考えたことを、ずばりと言い当ててくれていた。植田さん自身に対する思いも同じだった。こいつがこう読んでくれたのなら、あとはもうどんな批判や悪口が書かれても気にならない。書いてよかったと本当に思った。涙、涙(笑)。
 先日書いた「あるライターのかたの日記」というのはここです。仲俣暁生さんの「陸這記」。お礼のメールを出したら返事が届いた。下北沢の開発については僕も気になっていたが、その反対運動にも関わっておられるらしい。
 連休を東京で過ごしているH大学S先生からは、最前線からの斥候報告が届く。ピピピピ。

「一昨日の2日、表参道そばの青山ブックセンター本店にぶらっと立ち寄りました。ここは、デザイン・建築系の書籍(洋書を含め)が大変充実しているところですが、そこで植田本!平積みでありました!!やった!!!植田本のとなりは安藤忠雄の写真集、そのとなりはエルクロッキー伊東豊雄特集でありました。残念ながら、植田本をむんずと10冊つかんでレジへ持っていくような剛胆な客を見つけることは出来ませんでした。残念!」

 書いてないけどS先生はきっと大きな声を出して立派なサクラを演じてくれたに違いない。1冊の本でみんながいろいろと楽しめるのが一番だ。
 あの本は「シェアード出版システム」というものでできている。なので
1冊でもたくさん売りたいのです。

 あ、それから、神戸芸工大が来春から「先端芸術学部」という新学部をつくる予定です。文部科学省への申請作業がおこなわれ、「申請中」という前提での広報がスタートしました。とりあえず、概要と新しいスタッフの紹介が大学のホームページに公開されています。ぜひご覧下さい。

 上記の結婚式で卒業生に話したら大騒ぎになりました。これをきっかけにして、より刺激的な大学になることを願っている。
   (1) 大学のホームページ

 
   (2) 改革の概要

   (3) メディア表現学科の新スタッフ等(ここだけ書くのもなんですが、でもやっぱりすごいので。安彦良和、しりあがり寿、大塚英志、宮本隆司、石井聰亙、やなぎみわ、ササキバラ・ゴウ、槌橋雅弘)

   (4) 造形表現学科の新スタッフ等

   (5) 既存のメディアデザイン学科の改組