Logbook:Yoshiaki Hanada
2004年3月

花田の大学での暮らし、設計活動、日々の思いを記録します。
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2004-3月26日(金) 卒業式

 昨夜とうってかわって晴れ渡り、実にすがすがしい空気の中での卒業式。着ぐるみや新撰組姿の学生もいて、にぎやかなキャンパス風景がくり広げられた。全体の式も、大学院・学部ごとの式も、全体のパーティも、学生が開いてくれた謝恩会も、どれもこれも楽しかった。
 大学院の修了式での院生ひとりずつのスピーチはとてもよかった。みんなこの2年間が「楽しかった」と言ってくれて、教える側としては一番じんときた。学部の謝恩会も盛り上がった。他研究室の院生から読んでくれと修論をもらったり、卒論の副査をした学生から僕の審査評についての感想をもらった。とても嬉しい。

 僕の研究室の院生は、M君は東京で建築設計の修行が始まる。S君は京都で自分の夢を実現すべく試行錯誤の開始。学部生は10名中、2名が大学院・1名が研究生として残り、1名がインテリアの勉強をさらに他校で、4名は就職決定、2名は未定。上出来だ。
 若い諸君がみんな笑顔で卒業を喜び、それぞれの道を見つけようとしている。これ以上うつくしいものはないだろう。みんな元気でやってほしい。いつも書いてるかもしれないけど、昔読んだ歴史家・羽仁五郎の文章に「少数派と若者はつねに正しい」というアジテーションがあった(ような気がする)。元気が出るいい言葉でしょ。僕からのはなむけです。

 みんなときどき様子を知らせてね。

2004-3月25日(木)

 終日家で大学の文書づくりのお仕事、他。こういうのを早く片づけて、春休みの後半は少しでも「宿題1」(まだ終わっていない!)へ復帰したい。

 明日は神戸芸工大の卒業式。みんなおめでとう。ただいま深夜午前0時半くらいだが、雨がかなり降ってきた。明日は晴れてほしい。

 昨日書いたような次第で、小学校を卒業する子供たち、あるいは中学校にはいろうとする子供たちの揺れる心、というイメージが頭から離れず、いろいろ考えようとするのですが、難問です。自分はどうだったのかと考えてみても、あまり鮮明には思い出せない。脳天気な子供だったんだろうと思います。環境がかわる時の不安感を、あまりもたずにすんでいたのか。あるいは今の子供たちの方がそういうことに敏感なのか・・。

2004-3月24日(水)

 年度末のいろいろな出来事や仕事に追いまくられ、あっという間に3月も残りわずか。春を目前にした変わりやすい天候のように落ち着かない日々。

 今日は上の子供の小学校の卒業式だった。
 昨夜、子供がもって帰った卒業アルバムや卒業文集を見ていると、幼稚園の頃から知っている同級生や、我が家に遊びに来て覚えた連中の顔が次々と浮かび、なんともいえない感動に包まれた。とくにアルバムに並ぶたくさんの笑顔は、何ものにも代えることのできない宝物である。
 一方、文集に記された文章の多彩さは、もう少し複雑な思いを僕に抱かせた。自分を見つめ自分と他者との関係に悩んだ様子を小学生とは思えない冷静さで分析したり、いじめられた経験や努力が報われない悔しさを切々と吐露したり、いわゆる学級崩壊を経験する中で考えたことを記したりと、いくつかの内省的な文章があり、それらは実に鋭く僕の心に刺さってきた。
 楽しかった行事の思い出や将来の夢などの定番が多いのはもちろんである。笑わせてくれるものもいっぱいだ。しかし何人かの子供たちの文章は、とても繊細なこころの動きを記録していた。いやむしろ、実はすべての子供たちがそういう思いを抱えていると考えるべきなのだろう。子供たちのこころの中の、そういった微妙な動きについて、僕がいかに鈍感であるかをいくつかの文章は教えてくれた。
 式終了後、子供たちの写真をいっぱい撮ってやり、何人かに僕からも「いろいろとありがとう」とお礼を言った。自分の子供とつきあってくれたことへの感謝と同時に、僕自身もいろんなことを教わったと思ったからだ。ほんとうにいいやつばかりだった。
 
 13日からの空白期間には、 一般入試(後期)、学科会議、教授会、各種委員会、入試・広報関係の文書づくり、西宮浜の打ち合わせ、下の子供の卒園式、東京に転勤になるゼネコンの友人の送別会、山隈君と設計中の住宅の打ち合わせ、名古屋に転勤になる友人の来訪、解体される京都の町家から家具の運搬、その他あれこれとありました。その合間に日土小学校関連の報告書の原稿を書き、今朝4時過ぎに何とか完成。建築学会四国支部でやっている委員会の報告書ですが、けっこう面白いものになるでしょう。4月にできます。日土小学校は、モダニズム建築のオーセンティシティについて、理論をつくり実践をおこなう絶好の教材です。

 最近の本。『Design it yourself!コンフォルト別冊 家が語る22の生き方、22のストーリー 』『横書き登場』。ともに目からうろこ。実践や研究ってのは、こうあらねばと思わせてくれる。

2004-3月12日(金)
 松山へ日帰り出張。建築学会の四国支部でおこなっている「日土小学校」についての委員会。今年度のまとめと来年度の活動について。日土地区の方々や市や県の行政の方もオブザーバーに巻き込んでいる。近代建築の保存・活用運動の、ひとつの実験的・先駆的試みにしたい。今年度の報告書も面白くなりそう。肝心の自分の原稿がまだ完成せず、ご迷惑をかけてはいるのだが。
 往復の電車の中で、小林信彦の『おかしな男 渥美清』。小林信彦の、例の克明な記録主義とやや突き放した文体が、寅さんじゃない渥美清を見事に描き出していてとても面白かった。群れないということ、ひとりで自分の道を行くということの格好良さと厳しさとが、小林の文体と渥美清の生涯の両方から迫ってくる。お薦めの1冊。

2004-3月11日(木)
 京都へ。2月21日にも書きましたが、家内の母親の実家である町家が、残念ながらこの春で解体されるということで、芸工大助手の柳沢さんやゼミの学生といっしょに見学会。柳沢さん町家改修の実績も多い神楽岡工作公司のメンバーなのでこちらから同行をお願いした。学生諸君にはたいへんに新鮮な体験だったはず。柱も床も家具も、ともかく木部は磨き上げられてぴかぴかである。何十年ものあいだの毎日の雑巾がけの成果である。すごいことだ。この建物が消えていく。むなしい。

2004-3月10日(水)
 大学で、いろいろな雑用。

2004-3月9日(火)
 家で、大学の入試や広報についてのいろいろな文章づくりとそれについてのメールのやりとり。メールがない頃はどうやって物事を進めていたんだろうとつくづく思う。

2004-3月8日(月)

 大学で、いろいろな書類づくり。
 『文学的商品学』(例によって斎藤美奈子)、『逆システム学』、『無印商品ゴージャス!!』、『住宅建築』3月号。
 読まないうちからの感想ですが(笑)、『文学的商品学』の出版元が紀伊国屋書店であることにまずは驚き、だったら、もっとねちっこく重厚に、せめて『妊娠小説』ていどには、商品学をやってほしかったなあ。
 『無印商品ゴージャス!!』は初めの頁に書いてある無印商品は「ゴージャス」であるとする4つの理由が面白い。

(1)リーズナブルなので、量が揃えられる(2)自由度が高いのでカスタマイズも思いのまま(3)ゴージャスなアイテムも似合う(4)本当の贅沢を知る人たちが支持している


 これらの理由故に「ゴージャス」なんだ、というわけである。もちろん(3)のなかに「ゴージャス」という言葉が出てしまっていることに象徴されるように、一般的な意味でのゴージャスとは違うゴージャスなのだから、結局のところ何も言ってないことになるわけではありますが、でも無印商品自身による整理として読めば面白い。4つのうち、僕は(1)の「安いから量が揃う」という点が一番ポイントではないかと思います。ちょっと考えても、僕の生活に必要なモノ、つまり工業製品のうち、無印商品で揃わないのはパソコンくらいではないだろうか。でも、そのような「少ないお金で量が揃う」事態を、ふつうはまさに「貧乏くさい」と呼ぶんですね。

2004-3月7日(日) 卒展最終日

 卒展の最終日。エントランスロビーでのファッションショーは下の写真のような感じで、大盛況でした。ただ、何しろ座席数が少ないのと平土間なので、見ることをあきらめた人も多そうで、その点がなんとも残念だった。
 最終日も会場はどこもたいへんにぎわっていた。今日も卒業生と何人も会えて嬉しい。
 どの学科も例年より出来が良かったような気がするが、とくに視覚情報デザイン学科の作品はいろいろと楽しませてくれた。一昨日書いた白い家の中には、作者である女子学生がパジャマ姿で「引きこもって」いて、それを観客が覗くというなんとも生々しいものだったのですが(一昨日はじっとしていたが、昨日は足の毛を抜いていた・・、笑
)、今日はそこにもう一人パジャマ姿の女性が加わり、演劇的になっていた。ときに嬌声も聞こえ、さらにどきどきはらはらさせる展開。面白かったです。
 映像作品も楽しめた。CGやクレイなど手法こそ違っていても「アニメ」が多い例年とは違い、今年は実写の「映画」があった。といっても自分の家を舞台にして、出演者もご両親、兄弟、本人というお手軽な設定。しかし登場人物がみんな「役者やのお」というキャラで、実によくできたショートムービー集。笑わせてくれました。
 作品の多様さと完成度の高さ、そして会場の華やかさは、どの学科も例年以上だったと思う。大成功だったといえるでしょう。講評会等で知り合った他大学の学生さんからの感想メールも届いたが、いずれも刺激的だったという内容でした。こういうことをもっと世間に伝えなければ!とは、入試・広報委員としての苛立ちと決意。
 
 夜は三宮で、院生、4年生、新ゼミ生で飲み会。こちらも盛り上がりました。
 こういうお祭りがひとつ終わるごとに少し寂しくなるのもこの季節ならではのこと。

2004-3月6日(土)

 午前中は、芦屋で開かれた「なぎさ海道 市民ネットワーク交流会」というシンポジウムを聞きに行った。来年度からお手伝いすることになる西宮の浜の風景づくりの一環です。途中から吹雪。

 夕方は卒展会場へ。今日は卒論や修論の優秀作の発表会がミュージアムホールで開かれた。昨年、美術館の公開講座で話した場所だ。あのときより客の入りがずっと多い(笑)。というか、昨年までの卒展よりもずっと多いような気がする。ファッションミュージアムのホールより客席数は少ないので混んでいるように見えるのかもしれないが、しかし聴衆の絶対数が多いような気がする。最終的な数字をみないとわからないけど、ショッピングセンターに接していて子連れの買い物客も入り乱れた昨年とは、客数と客層がどう違うのか、とても興味がある。客の入りは上々。活気ある込み具合でとてもいい。
 展示会場では何人もの卒業生と会えて嬉しかった。来てくれてありがとう。
 下の写真は、明日開かれるファッションショーの準備が進むエントランスホール。あの広いだけの空間が初めて活かされるのでは。楽しみです。まだご来場じゃないかたは、明日こそぜひ!



 
 ところで、先日、四方田犬彦の『ハイスクール1968』にふれましたが」、僕が巡回している日記の一つ、法政大学の鈴木晶氏の日記の3月3日に、かつての同級生としての感想が書かれている。別にどうでもいいことなんだけど、へーえ、というくらいには楽しめる。

2004-3月5日(金) 卒展スタート
 卒業制作展がスタートした。今年は会場が安藤忠雄設計の兵庫県立美術館。これまでと会場が変わってどうなるかと心配したが、全体としてとても良い雰囲気になっていた。会場の面積がこれまでよりやや狭くなったのだが、それが逆に活気につながっている感じ。環境デザイン学科は出展作品数が多く、ひとりあたりの図面枚数が少なくなったが、全体としては迫力が出た。視覚情報デザイン学科の作品が、例年以上に「アート」していたのが興味深い。我が研究室の村山君の修士設計は、会場である兵庫県立美術館へのカウンタープラン。見てやってください。一番最後の写真の「白いおうち」も必ず中を覗いてね。7日の日曜日まで。7日にはエントランスロビーでファッションショーもあります。「具体」展もやってますので、そのついでにでも、ぜひ!





2004-3月4日(木)
 某女子大の住居系学科で教えている友人のゼミでスライドレクチャーをしてきた。10名ほどの女子学生さんがお相手で、積極的に質問も出て、とても楽しかった。女子大なので、いくら住居系とはいえ、やはり芸工大とは違う雰囲気。私学なので、先日おじゃました奈良女子大の住居学科ともちょっと違う。住居系なので、文系学科ばかりのいわゆる女子大ともちょっと違う。専門家養成が主目的じゃないけど、単に教養教育でもない。そういう空気ですね。入試・広報担当委員としては、こういう女子大を受験しようとする高校生を奪わないといけないんだと思った次第(笑)。夜は大学にとんぼ返りして学科会議。それさえなければ皆さんとお食事でも、なあ〜んて考えていたが、後る髪を引かれる思いとはまさにこのこと。深夜、日土小学校関係のレポート、やっと少し筆が進む。

2004-3月3日(水)

 昼間は大学。明日学外でやるレクチャーの準備。学内は卒展会場への搬入が終わり、静か。今度は現地がてんてこ舞いだろう。夕方から大阪の山隈事務所へ。設計中の住宅の競争見積もりが出揃い、その内容の検討。というと格好良いが、要するに減額案作り。しかしこうやって建物は必要十分な状態へ変身していくのだ、きっと。最後は近くのカフェで山隈君やスタッフのひとたちとわいわい。楽しい。僕以外はみんな自転車で帰っていく!入試・広報関係の仕事が次々と来て自分の時間が全くとれず原稿が書けない。いらいら。

2004-3月2日(火)
 夕方から学内の某委員会。難題の続き。学生諸君は、卒展への作品の搬入を明日に控え、梱包作業でばたばたしている。山隈氏との設計物件の見積もりが出てきた。

2004-3月1日(月)
 そのまま3月へ。宿題原稿たまるばかり。日土小学校についてのレポート、意外に手間取ったまま。