社会のデザインニーズに応えるプログラム
「芸術工学」は、「科学と技術」「芸術と文化」「人間と歴史」の3領域をデザインを通して統合するものと位置づけられていますが、近年の都市環境と地球環境の変動や、情報化やグローバル化が、私たちの日常生活や活動にも大きな影響を与えてきました。今後、生活者のニーズと社会のシステムを調和させるために、実践的な手法や技術の開発、新しいデザインの価値観の創出も、大学院の研究・教育の目標となってきました。
2005年度、このような急速に変化する時代的要請から、大学院教育のさらなる発展を願い、新たな大学院特別演習プログラムとして「国際総合プロジェクト」と「国内総合プロジェクト」が設けられました。履修者達は、既存の専門領域や教員の専門分野を越えたチームを編成し、以下に示すような多様なテーマのもと、地域社会の実態や社会的デザインニーズを把握し、その結果から導き出された仮説と提案を、制作やプレゼンテーションにまとめていきます。
2011年度は総合プロジェクトT,U,V,Wとして展開します。学生は1年間に二つまでのプロジェクトを選択することができます。
国際総合プロジェクト
過去の実施プロジェクト
◎海外調査『金門島(台湾)』(2010)
◎デザインコンペ(2010)
アジア各国で
◎海外調査『台南市延平(台湾)』(2009)
台南市延平において、(1)寺廟における装飾、(2)延平の街並み、(3)剣獅・魔除の造形、(4)祭り信仰-王船-の4班に分かれて、雲林科技大学の教員および大学院生と合同で調査を行った。
◎デザインコンペ(2009)
「神戸らしいボールペンの提案」をテーマにステイショナリーの提案を行い、香港国際文具フェアの調査を行った。
◎ ユニバーサルゲームデザイン(2008)
2008年度の国際総合プロジェクトは、これまで3年間の3大学合同調査とは趣向を変えて実施した。
2008年は北京オリンピックの年であり、オリンピックとパラリンピックの後に、1st. World Mind Sports Games(第1回智力運動会)が同じく北京で開催された。オリンピックが身体能力を競うゲームであるのに対して、知的能力を競うゲーム大会であり、世界100以上の国と地域から3000名を超える選手が5競技35種目のメダルを争うという大規模な競技会である。身体的な能力を競う競技では、障害を越えた対戦は難しく、パラリンピックというもう一つのオリンピックが開催されている。
しかし、知的能力は適切な道具が存在していれば、身体的な能力によらず身体障害を超えて対等に対戦することができる可能性がある。そこで我々は、第1回智力運動会に採用された、チェス、チェッカー、コントラクトブリッジ、および中国将棋の5つをターゲットに、身体的な障害を超えて対等に競技することを可能にするゲームデザインのコンペティションを開催した。
【担当教員】相良二朗、大田尚作、松本美保子、今村文彦、山之内誠、曽和具之、曽和英子、黄國賓
◎ 白川郷共同調査(2007)
2005年度に王家大院(中国・山西省)、2006年度に河回マウル(韓国・慶尚北道)で行なった調査研究に引き続き、3回目にあたる2007年度は、8月初旬に3大学の教員及び大学院生が日本の代表的な民家集落である白川村合掌集落に集合し、建築、生活用具、水と生活、集落の色彩など、様々なデザイン分野の視点から総合的な調査研究を行った。
【担当教員】大田尚作、齊木崇人、松本美保子、藤本修三、見寺貞子、今村文彦、かわいひろゆき、佐野浩三、山之内誠
◎河回マウル共同調査(2006)
昨年度に引き続き行われた、韓国・東西大学および中国・北京理工大学との共同による、3大学国際共同調査プロジェクト。韓国の代表的な伝統的民家集落である河回マウルにおいて、集落・建築の研究、家具・生活用具の研究、衣服・布地等の研究などのテーマを設定し、それぞれの現況と変遷を把握・記録し、その特徴を分析した。
【担当教員】大田尚作、齊木崇人、松本美保子、藤本修三、見寺貞子、今村文彦、かわいひろゆき、佐野浩三、山之内誠
◎ 王家大院共同調査(2005)
2005年より始まる北京理工大学(中国北京)、東西大学(韓国釜山)および本学による教員・学生が一堂に会して進める研究教育プロジェクト。中国山西省霊石県の王家大院の建築家具の実測調査、装飾文様の調査分析を行った。
【担当教員】大田尚作、齊木崇人、松本美保子、藤本修三、見寺貞子、今村文彦、かわいひろゆき、佐野浩三、山之内誠
◎ 温暖地・亜熱帯気候下の都市における低層高密度居住集合住宅計画(2005)
これまでのインドネシア、マレーシアとの共同研究の成果をふまえて、環境と共生できるエコロジカルな低層高密度集合住居の可能性を検討した。
【担当教員】小玉祐一郎、木村博昭、川北健雄、齊木崇人
国内総合プロジェクト
過去の実施プロジェクト
◎ 越後妻有アートトリエンナーレへの参加(2004〜06)
越後妻有地域の里山で展開される「大地の芸術祭」への参加プロジェクト。2004年度はプロポーザル案を制作し公募に入選、2005年度には現地調査と実施案の検討、そして2006度は作品「ツマリカモ」の制作と展示を行った。
【担当教員】鈴木明、藤山哲朗
◎ なぎさのデザイン─西宮市御前浜における一連の取り組み(2004〜)
2004年度は、浜の利用実態調査と無料貸し出し椅子を使った浜辺の利活用のための小実験を、2005年度は「浜辺の幻燈会」を、2006年度は、国指定史跡である西宮砲台を使った「砲台映画館」を企画した。
【担当教員】花田佳明、川北健雄
◎ 中心市街地におけるまちづくり活動への参画─稲荷芸術祭を通じて(2004〜)
神戸市入江地区の稲荷市場では、多くの店舗がシャッターを下ろし、あるいは震災後更地となったままの状態が続いている。「稲荷芸術祭artinary」は、稲荷市場と周辺の町を舞台として、毎年秋に開催されるユニークなアートプロジェクトである。
【担当教員】川北健雄
◎ 西脇ファッション特区開発事業のための産学連携プロジェクト(2006)
西脇市中心市街地では、地場産業の低迷ととともに住民の高齢化が進み、商店街が衰退し活気が少なくなっている。本プロジェクトは、空き家の目立つ西脇市中心市街地に、播州織を用いたシャツのショップと工房館を作り、地場産業の振興とまちづくりを図るものである。
【担当教員】野口正孝、見寺貞子、川北健雄
◎ 茅と民家とエコロジー(2003〜05)
神戸には1200棟を超える茅葺民家が現存し、かつては有効な建築資材として茅が利用されていた。茅苅り作業を体験することを中心に据え、茅のエコロジカルな資源としての有用性の再評価、茅葺技術の保護・普及・活用の可能性を探る。
【担当教員】山之内誠、大田尚作、齊木崇人
◎ 森林浴の効果と都市の緑地計画デザイン(2005)
本学正門のそばにある残存林を利用して、森林散策コースのデザインを実施、既存の森林環境を最適な森林環境へ誘導する手法を検討するとともに、森林浴がもたらすリラックス効果を心理的・生理的な調査で検証した。
【担当教員】古賀俊策、杉本正美、齊木崇人
◎ 都市再生における駅建築の役割(2004)
単純な駅機能だけでなく、商業・娯楽・宿泊・イベント会場・公共施設などを合わせた複合ビルとして建て替えられる駅建築が増えている。この動きは、自動車交通によって拡散した都市構造を、駅の持つ求心性を梃子に再びコンパクト化しようとするものと理解できる。その実態を把握した。
【担当教員】土肥博至、川北健雄
◎ わが国における集合住宅の設計の新展開(2004)
戦後以降の集合住宅設計の変遷をふまえて、比較的新しく建設された集合住宅にみられるデザイン上の特色を調査し、これからのわが国における集合住宅デザインの可能性について展望した。
【担当教員】土肥博至、田中奈美
◎ 「新・田園都市」実験(2003)、ガーデンシティー『舞多聞』のコミュニティーデザイン(2004)
旧ゴルフ場跡地を新住宅地として開発されるガーデンシティー舞多聞学園南地区をモデルケースに、100年前に建設され今日も高く評価されているイギリスの「田園都市レッチワース」の構想をコンセプトに取り入れ、旧舞子ゴルフ場の良好な環境を残した都市開発の可能性を検討した。
【担当教員】齊木崇人、土肥博至、杉本正美、小玉祐一郎、木村博昭、川北健雄
◎ 21世紀の新しいファッション環境デザインを探る(2004)
21世紀におけるファッション環境デザインを、政治、経済、文化などの社会的コンテクストの中で考察する。ファッションデザインを単分野の現象として捉えるのではなく、各分野のコラボレーションデザイン事例を収集し、その関連性を分析し、今後のデザインの方向性を考察した。
【担当教員】佐々木熙、見寺貞子、野口正孝
◎ アジアにおける藍と絣の研究(2004)
藍色の染料をとる一年草・藍や、あらかじめ染め分けた絣糸を織ることが特徴の絣は、世界中で古くから栽培され織られてきた。特に東南アジア各国では特徴ある織物が伝えられている。タイと日本における藍と絣の調査を行った。
【担当教員】松本美保子、山口惠子
◎ 土空間実験プロジェクト(2000〜04)
土の持つ建設素材としての可能性を追求するもので、1/1モデルにより実験棟の建設を行い、基本・実施設計、施工、工法、素材の研究調査をワークショップから学ぶ研究である。。
【担当教員】小玉祐一郎、木村博昭
◎ 教会建築建設プロジェクト(2004)
神戸市御影に建設予定の神戸新生バプテスト教会における、実際の設計・建設過程を体験を通し学ぶ。信者たちとの打ち合わせ、建築・家具等のワークショップ、また制作作業等に参加した。
【担当教員】木村博昭、小玉祐一郎
◎ 和紙を使用した照明デザインと制作(2003)
本学内の空間を選定し、その空間を演出するための和紙を用いた照明計画・デザイン・制作を行った。
【担当教員】相澤孝司、平川義浩
◎ 公開講座「環境デザインの新世紀」(2003)
20世紀の価値観からパラダイムシフトした新世紀の環境デザインの新しいあり方を、各教員の専門領域から提言した。講義は兵庫県立美術館との共同で公開講座とされた。
【担当教員】杉本正美、齊木崇人、岡部憲明、川北健雄、山之内誠、小玉祐一郎、木村博昭、花田佳明、小山明、相良二朗
◎ 「携帯電話を用いた情報システム」の研究(2003)
さまざまな領域のデザインに共通する、デザイン生成の方法とプロセスを、具体的なプロジェクトを通じて学ぶ。本年度は、携帯電話を用いたさまざまな情報システムの可能性をユーザビリティを中心に研究、調査した。
【担当教員】小山明、岡部憲明、鈴木明、橋本英治、藤山哲朗、大内克哉