対話編10 青→花 06

2010年8月29日 11:06【青木淳×花田佳明 対話

花田くん

あっと言う間に、約束の3年の、最後の年を迎えました。
今年もどうぞよろしくお願いします。

花田くんは、この夏休みも、日土小学校での「夏の建築学校」だったのですね。
花田くんのサイトで、その旅行の写真を見て、ぼくは今、あの小学校にあった空気を思い出しています。
どこの学校にも、昇降口があって、教室があって、廊下があって、便所があって、と、まあ、だいたい同じようなものからできているわけですけれど、日土小学校の昇降口や廊下や教室や便所や、その空間のどこをとっても独特の風情をもっていることに、まずは驚かされたものです。それで、ぼくは、具体的にどこからそういう風情が出てくるのかな、と思いながら、なかを歩き回ったわけです。もちろん、サイズとかプロポーションが大きな決め手になっていました。でもそれと同じくらいにまた、細かいディテールも大切なものでしたね。真壁の、その露出する柱や梁のコーナーが面取りされていて、その分だけ壁が凹んでいたり。

そうして、日土小学校は、たとえば廊下という、ぼくらがごくごく普通に体験している風景が、もっともっと豊かな風景にふくらまされていたように感じたものです。
ふつうの学校の廊下だって、そこにぼくたちの思いが詰まっています。
でも、日土小学校の廊下には、そこで過した人たちそれぞれ別々の思いがもっといっぱい詰まっているのではないか、と感じたのですね。

今回の課題を通して、ぼくがまず知りたいと思っているのは、今の学生たちが、町のなかのどんな場所に、彼ら彼女らのいろいろな思いを込めているのか、ということです。その場所というのは、必ずしも「好きな場所」というのではなくて、いまの自分の生活をシンボライズする場所、といった方がいいかもしれない。
もっと簡単に言えば、自分(たち)の今の生活をテーマとして、自分(たち)を主人公とする映画を撮るとして、そのなかの重要なシーンとして使ってみたい場所、ということ。

いまの学生たちにとって、どんな風景がヴィヴィッドなのかな。